b♭の3通りの運指の使い分け。
マーチングや吹奏楽を中心に演奏している人は、他の調性楽器の影響もあり、基本♭が付く調性の楽譜の演奏機会が多いです。というかかなりの確率でそうです。
お陰でそういった環境の人は♭2〜4の調性の楽譜ばかりを演奏するため、#が付く楽譜を初見で演奏するとなると面食らうという人も少なく無いのではないでしょうか。
12調性の慣れ方についてはまた別の機会に書くことにしますが、まあそんな訳でこういったスクールバンドでb♭を演奏する機会が多い人が気付かない運指の問題を書いておこうと思います。
フルート奏者から直接指導受けてる人は当然の知識なんでしょうが、スクールバンドでこれ指導してくれる人はよっぽどフルート専門的に知ってる人でしょう。
事実、私も指摘された時に「んなこと知らないよー」と心の内で悲鳴上げました。
※ここでの音名オクターブ表記は国際式に沿って記載します。
ここで問題になるb♭は、b♭4とb♭5(=a#4とa#5)の運指。
この運指、3通りあります。
左手L・右手R、親指1〜小指5として記載します。
1.L1・2、R2・5(D#レバー)
2.L1(ブリチアルディキー)・2、R5(D#レバー)
3.L1・2、R2(Aisレバー)・5(D#レバー)
(↑特殊キー名称はこちらで確認)
http://www.yamaha.co.jp/plus/common/img/flute/ja/fingering.pdf
(注:↑の運指表には運指3の記載がありません)
基本的には運指1で指導を受けますが、♭調性の曲を演奏する機会が多いとなるとブリチアルディキーが便利なこともあり、気が付くと運指2を常用するようになります。
そういう私もそうでした。殆どのb♭を運指2のブリチアルディキー使ってました。
ところが、ある日先生から指摘を受けます。
「半音遷移する場合はブリチアルディキー使っちゃダメ!」
ここでの半音遷移は「b♭とb」の遷移。
これをブリチアルディキーで演奏すると左手親指をずらさなくてはならなくなります。
この半音遷移をブリチアルディキーで行うと、素早い遷移などの演奏が出来なくなるため、演奏上NGなのだそうで。
では、運指1なのかと思いきや、正しい運指は「Aisレバーを使用」の運指3なのだそうで。
いや、今までAisレバーの存在知ってたのですが、これ何に使うんだろうと思いつつ、まさかここで本当の使い道知ることになるとは思いませんで。
ずっとトリルキーか何かと思ってました…。
事実、「b♭-b」遷移が発生するスケールをAisレバー使って演奏出来るように
なると、ブリチアルディキー使うよりスムーズに演奏出来るようになります。
では、運指1は使ってはいけないのか。
NGではないようですが、運指1を使った場合、トーンホールがR2絡む所が塞がる事から、やや音程が低くなるようです。
但し、運指1を使わなくてはならない場合もあるようで、右手が絡む運指遷移がある場合はAisレバーを使わず、運指1のR2を使うべきとのこと。
(例:b♭-f〜dのような場合)
ざっくりしたまとめで言うと、
b♭-bの遷移が無い♭調性→基本運指2 (ブリチアルディキー使う)
b♭-bの遷移が無い#調性→基本運指3 (Aisレバー使う)
b♭-bの遷移がある調性全て→基本運指3 (同上)
上記の運指3を使う調性で、右手が絡む運指遷移がある場合
→その時は運指1を適用 (R2使う)
ということになります。
勿論譜面上で運指遷移上、上記ルール付けと異なる運指適用しなくてはならない状況もあります(楽譜上で調性変化するなど)が、まあ状況により使い分けをしなさい、ということですね。
最初は「使い分けこんがらがりそう」と正直思いました。
ただ、使い分けしていくうちに、「何故そうなのか」が運指上で理解出来てくると
演奏上楽になるのも事実です。
またb♭-b遷移がある調性の練習していく上で使い分け出来ると大きいので、
知らなかった方は是非チャレンジしてみてください。
いや、本当に謎のキーだったんです…「Aisレバー」。
長年の疑問がこれで解消されました。知らない人、結構いると思うんだけどな…。