楽器を買うという行為。
ある日のレッスンでの出来事。
先生から「これ見て」と見せられた画像。
見てみるとフルートの頭部管がガッツリ凹んだ画像。
教えている学生の生徒さんがうっかり何かにぶつけた結果らしく、フルート工房の人に見せたら「これはメンテではなくて修理ですねー」と言われたとのこと。
実際、私の目から見ても「あー、これはちょっとのケガではないなー」と。
その生徒さんの楽器購入の際に相談を受けたらしいのですが、こうなるのであれば国内に工房の無い海外メーカーではなく、国内メーカーにさせるべきだった、と。
その生徒さんがどの位の技術レベルなのか分かりませんが、話の中身の限りだと中高校生のようなので、恐らく親に買って貰った楽器だろうなと。
凹ました本人は反省してないようで、買い替えの相談受けたらしいんですが、どうしたもんだかと先生も苦笑してました。
あるところのフォーラムでも、中高校生が親に楽器を買ってもらうに際して、100万クラスの楽器の買い替えを相談していたりするのを見て、そんな頃から高価な楽器を親に買い与えられるのってどうなんだろうという話題を見ました。
これも時々色々な所で出る話題ですよね。
楽器を買うという行為。
以下は自分の経験や色々な方から話を伺った上での、私個人の持論です。
楽器にもピンキリあるので、一律的に言うことは出来ないと思うのですが、例えば学校で部活はじめて、色々演奏出来るようになってきたところで自分の楽器が欲しいというのであれば、そんな高級な楽器をいきなり買う必要はないと思うのです。
特に親が購入するのであれば尚更。お小遣いをためた場合でも同様。
子供や学生の頃って、お金を稼ぐという行為の本質を知らない場合が殆どで、自分が働いて買うのとでは、その背景にある「モノへの価値観」が全然違います。
メンテナンスの点考えると、国産メーカーのエントリーモデルで充分。
それを使って使って使い倒して、自分が働いて購入出来るようになってから、自分が憧れていたメーカーの上位モデルに買い換えるのでも遅くないと思います。
その感慨は買い与えられたものより断然大きく、大切に扱うようになります。
また高価な楽器を購入して、その後飽きてしまったりしたら、折角の楽器が勿体無いです。
演奏する本人が本気になるなら、他人の力借りずとも、自分の努力で購入するかと。
私のかつての上司はサックス奏者で、仕事面でも尊敬される程の実績があり、その成果で楽器を購入されてました。仕事帰りに練習通っているのを知っていますが、本当に大切にされているのが判ります。
私は学生時代にどうしても自分の楽器が欲しくてある国産メーカーのエントリーモデルを購入しました。それはお小遣いをためたもので買ったものです。
その後社会人になるまで色々なメーカーの楽器を検討し、社会人になってから2年のローン組んで念願だったリングキーの楽器を購入しました。
その楽器は今でも現役です。高級モデルではありませんが、今でもメンテナンスしながら大切に使い続けています。
どんな形でも巡りあわせで自分の手元に来た楽器です。
たくさん練習して、たくさん演奏して、そして大切にメンテナンスして、永く付き合っていきたいものです。
私も新しい楽器が欲しいなぁと思うことはありますが、次はある程度の技術備わって、H管使いこなせる技量が身についたらかな…。
さて、何年先の話になるのでしょうか。。
※追記
元々プロを目指して、先生からの指導の上で高級モデルを購入する状況もありますが、今回の話はそういった「一生の覚悟を決め、命懸けでフルートで生きていく」人ではない前提でのお話ということで。
音楽で生きていく覚悟を決めるような方々は、それこそ命懸けで楽器購入することになるのでしょうし、そこまでの覚悟決めて購入される楽器なら、楽器も本望かと。
音楽で生きていっている人達は本当に凄いなと痛感します…。