フルート吹きが何やら記録を残したいようです。

フルート指導を受けている筆者が気づいたこと・書き残しておこうと思ったことへの公開記録帳。

12調性スケールの苦手克服練習法。

 学生時代の楽譜が♭調性が多かったこと、しかも特定調が多かったために、それ以外の調が苦手となってしまった。

 スクールバンド系出身者は同様の人が多いんじゃないでしょうか。

 吹奏楽編成の楽器はB管・Es管が多く、他にもF管だったりと♭調性に何かと御縁がある関係で、C管楽器であるフルートは必然的に♭調性の楽曲が増えてしまいがち。

 そのため、基礎の基礎から練習していくとそれ以外の調性スケールとアルベジオが案外手こずることになるのです。

 何を隠そう、私がまんまとこの落とし穴に落ちました。苦手意識酷かったです。

 

 フルート練習を再開しようとした際、基礎の基礎からやり直そうと、それこそアルテス1巻の最初からやり直しを希望して今に至るのですが、それとは別に音楽関係の友達から「12調性は対等な関係だから、全調性頭に入れておける位になっておいた方がいいよー」と言われた事もあり、この苦手意識の克服をするに至った訳ですが。

 

 12調性は対等である、とはいえ、管楽器の場合は運指がそれぞれの調性に合わせて造られている以上、運指上では簡単に対等に扱えないのも事実。

 まず仕組みを理解するが先決と考え、「12調性は対等である」を考える訳です。

 

 まず基本となる音階。基本平均律長調で考えます。

 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド。

 ドとレの間は半音2つ分、ミとファは半音1つ分の「音程」があります。

 ド〜ドの間の音程を半音何個分として全部を並べると以下の通り。

 ドーレ  半音2つ

 レーミ  半音2つ

 ミーファ 半音1つ

 ファーソ 半音2つ

 ソーラ  半音2つ

 ラーシ  半音2つ

 シード  半音1つ

 このドードの「2・2・1・2・2・2・1」の音程関係はどんな調性に行っても同様。

 鍵盤楽器のミーファ、シードの間が白鍵同士なのがこの半音1つの関係。

 そして、どの音からスタートした音階でもこのルールは崩れません。

 これが「12調性全ての調が対等である」一つの理由。

 

 では、ドから半音ずつスタートする音を変えた場合、上記の音程ルールを適用し、五線譜に順番にスケールを記述していくことにします。

 (私は理解のため実際に書きました)

 

 以下、各調をアメリカ式で記述。↓の内容を五線譜に順番に記譜します。

 

key of C   c・d・e・f・g・a・b・c  (none)

key of D♭  d♭・e♭・f・g♭・a♭・b♭・c・d♭ (♭5)

key of D  d・e・f#・g・a・b・c#・d (#2)

key of E♭  e♭・f・g・a♭・b♭・c・d・e♭ (♭3)

key of E  e・f#・g#・a・b・c#・d#・e (#4)

key of F  f・g・a・b♭・c・d・e・f (♭1)

key of F#※ f#・g#・a#・b・c#・d#・e#・f# (#6)

key of G♭※ g♭・a♭・b♭・c♭・d♭・e♭・f・g♭ (♭6)

key of G  g・a・b・c・d・e・f#・g (#1)

key of A♭  a♭・b♭・c・d♭・e♭・f・g・a♭ (♭4)

key of A  a・b・c#・d・e・f#・g#・a  (#3)

key of B♭  b♭・c・d・e♭・f・g・a・b♭ (♭2)

key of B  b・c#・d#・e・f#・g#・a#・b (#5)

 

 key of〜は、〜音から始まる長調スケールの意。

 ( )内は各調のスケール内のド〜シにある#や♭の数。即ち楽譜の頭に記載される調性記号の数。

 ※key of F#とkey of G♭は実際に演奏される音は同じ。従い実質は同じ音のスケール。

 

 これを書いていくと、ある法則が理解出来ます。

・調性記号の数は#と♭で対照的に付与されている。(上記参照)

・#はその調のシの位置に追加されていく。

・♭はその調のファの位置に追加されていく。

・そう考えると、♭と#が追加されていく音は対称性がある。

 ♭ シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファ

 # ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ

・上記から♭は音が5つ下がり、#は音が5つ上がって調号付与されているのが判る。

 まあこの法則を「5度圏」と言うのですが。

 

  要は

 ・どの音からスタートした時に、何個分の#や♭がつくかの法則を覚える

 ・#や♭が付く順序の法則を身につける

 ・あとはそのスケールを構成する音と音の間の運指を身につける

  ことで目標を達成出来る訳です。

 

  上記を五線譜に書いたら、実際に順番にスケールを練習してみます。

  最初は出しやすい音がいいと思うので、key of Cのc5-c6のスケールからはじめ、音を上行してスケール練習し、key of F#でf#5-f#6に到達したところで、key of G♭でg♭4-g♭5と1オクターブ下げて、更に音を上行してスケール練習し、最後のkey of Cでc4-c6で終わると無理なくスケールの特色を理解出来るかと思います。

 慣れたらそれぞれやってない音域を含めて2オクターブ練習していきます。

 

 多くの教則本は♭1つ→♭2つ→♭3つ…というようにスケール練習していきますが、上記の半音ずつスタート音を変えて練習していくと、その調性の音の色合いが少しずつ違うのが理解出来ていきます。

 

 最初は1つか2つずつ、正確にスケール練習していき、最終的に全ての調を通して正確に演奏出来るようにコツコツ練習していきます。

 練習メニューの一つに追加する程度で良いので、練習の都度やっていきます。

 数ヶ月やってると「全ての調を対等に」演奏出来る基礎が身につきます。

 つまり「沢山#や♭がついても泣かない」ようになります(笑)。

 

 慣れてきたらリズムパターンを変えたり、スラーやスタッカートなど含めて練習していくと、毎日のスケール練習メニューとして色々活きてくるかと。

 それに馴れたあとにアルベジオや各種短調スケール練習に変換していくと、色々バリエーション出来ますね。

 

 面倒かもしれませんが、こうやって自分で五線譜書きながら進めると、仕組みの理解出来たり、自分の練習メニューを作りやすかったりします。

 五線ノート1冊手に入れて、お試しください。